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創刊のことば

大松 達知

世界はますます先行き不透明だと言われます。しかし、足元を見れば自分が立つ地面があり、鏡を見れば自分の姿があります。きっとこれまでも視界良好であった時代はないでしょう。その中で先人たちはそれぞれの時代の言葉で作品を紡いできました。われわれもこの時代を生きるものとして、この時代の言葉を紡いでゆきたいと思います。それは自分の内側に潜む言葉が、この時代だけでなく、過去そして未来とどう響き合うのかを楽しむ作業でもあります。

そして、こういう時代であるからこそなおさら、言葉を確実に手渡す作品が必要なのだと思います。作者が作品の中心にしっかりと存在し、言葉の引力に振り回されていない作品。そして作者と読者の間に一本の確かな道を通す作品です。

こうした理想に一歩でも近づくために、「コスモス」の中に新たなグループを作ることにしました。人生には近くでその人を見つづけてくれる人が必要なように、歌を作る上でもその人の歌を近くで読みつづけてくれる人が必要なのです。

縁あって集まった我々の言葉がお互いにどのように響き合ってゆくのか、楽しみに待ちたいと思います。

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